# Vue 2 での変更検出の注意事項
このページは Vue 2.x 以下にのみ適用され、すでに リアクティブの探求 を読んでいることが前提です。最初にそのセクションを読んでください。
JavaScript の制限のため、Vue は、検出することができない変更のタイプがあります。しかし、それらを回避しリアクティビティを維持する方法はあります。
# オブジェクトに関して
Vue はプロパティの追加または削除を検出できません。Vue はインスタンスの初期化中に getter/setter の変換を行うため、全てのプロパティは Vue が変換してリアクティブにできるように data
オブジェクトに存在しなければなりません。例えば:
var vm = new Vue({
data: {
a: 1
}
})
// `vm.a` は今リアクティブです
vm.b = 2
// `vm.b` はリアクティブでは"ありません"
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Vue では、すでに作成されたインスタンスに対して新しいルートレベルのリアクティブなプロパティを動的に追加することはできません。しかしながら、Vue.set(object, propertyName, value)
メソッドを使ってネストしたオブジェクトにリアクティブなプロパティを追加することができます:
Vue.set(vm.someObject, 'b', 2)
vm.$set
インスタンスメソッドを使用することもできます。これはグローバルの Vue.set
のエイリアスです:
this.$set(this.someObject, 'b', 2)
既存のオブジェクトに複数のプロパティを割り当てたいということがあるかもしれません。例えば、Object.assign()
や _.extend()
を使って。しかし、オブジェクトに追加された新しいプロパティは変更をトリガしません。このような場合は、元のオブジェクトとミックスインオブジェクトの両方のプロパティを持つ新たなオブジェクトを作成してください:
// `Object.assign(this.someObject, { a: 1, b: 2 })` の代わり
this.someObject = Object.assign({}, this.someObject, { a: 1, b: 2 })
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# 配列に関して
Vue は、配列における次の変更は検知できません:
- インデックスと一緒にアイテムを直接セットする場合、例えば
vm.items[indexOfItem] = newValue
- 配列の長さを変更する場合、例えば
vm.items.length = newLength
例:
var vm = new Vue({
data: {
items: ['a', 'b', 'c']
}
})
vm.items[1] = 'x' // リアクティブでは"ありません"
vm.items.length = 2 // リアクティブでは"ありません"
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注意事項 1 を克服するに、次のいずれも vm.items[indexOfItem] = newValue
と同じように機能しますが、リアクティビティシステムで状態の更新をトリガします:
// Vue.set
Vue.set(vm.items, indexOfItem, newValue)
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// Array.prototype.splice
vm.items.splice(indexOfItem, 1, newValue)
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また、vm.$set
(opens new window) インスタンスメソッドを使うこともできます。これはグローバルな Vue.set
のエイリアスです:
vm.$set(vm.items, indexOfItem, newValue)
注意事項 2 に対応するには、splice
を使うことができます:
vm.items.splice(newLength)
# リアクティブプロパティの宣言
Vue では新しいルートレベルのリアクティブなプロパティを動的に追加することはできないため、コンポーネントインスタンスの初期化時に前もって全てのルートレベルのリアクティブな data プロパティを宣言する必要があります。空の値でもかまいません:
var vm = new Vue({
data: {
// 空の値として message を宣言する
message: ''
},
template: '<div>{{ message }}</div>'
})
// 後で`message` を追加する
vm.message = 'Hello!'
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data オプションで message
を宣言していないと、Vue は render 関数が存在しないプロパティにアクセスしようとしていることを警告します。
この制限の背後には技術的な理由があります。それは依存性追跡システムにおける一連のエッジケースを排除し、また コンポーネントインスタンスと型チェックシステムとの親和性を高めます。しかしコードの保守性の観点からも重要な事項があります: data
オブジェクトはコンポーネントの状態のスキーマのようなものです。前もって全てのリアクティブなプロパティを宣言しておくと、後から見直したり別の開発者が読んだりしたときにコンポーネントのコードを簡単に理解することができます。
# 非同期更新キュー
おそらく既にお気づきでしょうが、Vue は 非同期 に DOM 更新を実行します。データ変更が検出されると、Vue はキューをオープンし、同じイベントループで起こる全てのデータ変更をバッファリングします。同じウォッチャが複数回トリガされる場合、キューには一度だけ入ります。この重複除外バッファリングは不要な計算や DOM 操作を回避する上で重要です。そして、次のイベントループ "tick" で、Vue はキューをフラッシュし、実際の(すでに重複が除外された)作業を実行します。内部的には、Vue は非同期キューイング向けにネイティブな Promise.then
と MutationObserver
、setImmediate
が利用可能ならそれを使い、setTimeout(fn, 0)
にフォールバックします。
例として、vm.someData = 'new value'
をセットした時、そのコンポーネントはすぐには再描画しません。 次の "tick" でキューがフラッシュされる時に更新します。ほとんどの場合、私達はこれについて気にする必要はありませんが、更新した DOM の状態に依存する何かをしたい時は注意が必要です。Vue.js は一般的に"データ駆動"的な流儀で考え、DOM を直接触るのを避けることを開発者に奨励しますが、時にはその手を汚す必要があるかもしれません。データの変更後に Vue.js の DOM 更新の完了を待つには、データが変更された直後に Vue.nextTick(callback)
を使用することができます。そのコールバックは DOM が更新された後に呼ばれます。例えば:
<div id="example">{{ message }}</div>
var vm = new Vue({
el: '#example',
data: {
message: '123'
}
})
vm.message = 'new message' // データを変更する
vm.$el.textContent === 'new message' // false
Vue.nextTick(function() {
vm.$el.textContent === 'new message' // true
})
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vm.$nextTick()
というインスタンスメソッドもあります。これは、グローバルな Vue
を必要とせず、コールバックの this
コンテキストが自動的に現在のコンポーネントインスタンスに束縛されるため、コンポーネント内で特に役立ちます:
Vue.component('example', {
template: '<span>{{ message }}</span>',
data: function() {
return {
message: 'not updated'
}
},
methods: {
updateMessage: function() {
this.message = 'updated'
console.log(this.$el.textContent) // => 'not updated'
this.$nextTick(function() {
console.log(this.$el.textContent) // => 'updated'
})
}
}
})
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$nextTick()
は Promise を返却するため、新しい ES2017 async/await (opens new window) 構文を用いて、同じことができます:
methods: {
updateMessage: async function () {
this.message = 'updated'
console.log(this.$el.textContent) // => 'not updated'
await this.$nextTick()
console.log(this.$el.textContent) // => 'updated'
}
}
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